紙書類を探す時間を減らすには?原因の測り方と電子化の進め方

紙書類を探す時間を減らすには、片付けから始めるより先に、「なぜ見つからないのか」を原因別に分け、探索にかかった時間を実際に記録することが近道です。記録があれば、どの資料を電子化すべきか、電子化ではなく保管ルールで解決すべきかを判断できます。この記事では、原因の分け方、探索時間ログの付け方、記録から電子化の対象を決める方法、検索手段の組み合わせ方、導入前後の比べ方を説明します。
探せない原因を分ける
「書類が見つからない」と一言でいっても、原因によって有効な手が違います。まず次の4つに分けて考えます。
| 原因 | 状態の例 | 有効な手の方向 |
|---|---|---|
| 所在不明 | どの棚・どの箱にあるか分からない | 保管場所の記録、台帳との照合 |
| 名称不明 | 書類はあるが、どのファイル名・見出しで綴じたか分からない | 呼び方の統一、命名ルール |
| 持ち出し | 誰かが机に持っていき、棚に戻っていない | 貸出記録、原本を動かさない参照方法 |
| 紙の階層 | ファイルは分かるが、中の何十枚目かを1枚ずつめくる必要がある | 書類単位で区切ったPDF、本文の検索 |
1件の探索に複数の原因が重なる場合は、時間を最も取られた原因を「主原因」として1つ選びます。原因を1つに絞っておくと、後で集計したときに対策の優先順位を付けやすくなります。持ち出しや所在不明は、電子化しなくても貸出ルールや台帳で改善できる場合があります。
探索時間を記録する
感覚ではなく記録で判断するため、一定期間、探索のたびにログを1行ずつ付けます。次の表は探索時間ログの記入例です。資料名・時間はすべて架空の例です。
| 依頼日 | 探した資料 | 依頼時の手がかり | 所要時間 | 結果 | 主原因 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10/6 | 取引先の過去の見積書 | 取引先名と年度 | 40分 | 発見 | 紙の階層 |
| 10/7 | 賃貸借契約の覚書 | 物件名のみ | 25分 | 発見 | 名称不明 |
| 10/8 | 前年度の稟議書控え | 件名の一部 | 60分 | 見つからず | 持ち出し |
記録のルールは次の3点です。
- 始点と終点:探す依頼を受けた時点から、依頼者に渡した時点(またはあきらめた時点)までを記録する
- 見つからなかった件:時間とは別に件数で数える。見つからない件は、時間の合計だけでは負担が見えにくいため
- 手がかり:依頼者が何を手がかりに頼んだか(取引先名、日付、件名の一部など)を書く。後で検索手段を選ぶ材料になる
外部倉庫からの取り寄せ待ちのように、手を動かしていない待ち時間が含まれる場合は、実作業の時間と分けて書いておきます。待ち時間が長いのか、探す作業そのものが長いのかで、打つ手が変わるためです。
期間は、月末や決算期など繁忙の波を一度含む程度の長さを目安に部署で決めます。記録の負担が大きいと続かないため、共有の表計算シートに1行で書ける項目数にとどめましょう。
頻繁に探す資料を電子化する
ログがたまったら、資料の種類ごとに件数・合計時間・見つからなかった件数・主原因を集計します。電子化の候補は、件数が多く、主原因が「紙の階層」や「名称不明」の資料です。
| 資料の種類 | 件数 | 合計時間 | 見つからず | 主な原因 | 判断(架空の例) |
|---|---|---|---|---|---|
| 取引先別の見積書控え | 9件 | 5時間 | 1件 | 紙の階層 | 電子化を優先して検討 |
| 契約書・覚書 | 5件 | 2時間 | 0件 | 名称不明 | 電子化と命名ルールの整備 |
| 稟議書控え | 3件 | 2時間 | 2件 | 持ち出し | まず貸出記録を導入 |
この集計は架空の例です。対象を「よく探す資料が入っている箱やファイル」に絞れば、書庫全体を一度に電子化しなくても、探索の負担が大きい部分から着手できます。原本を手元で見る必要が残る資料かどうかも、この段階で所有部署に確認します。
Chatworkスキャン代行は段ボール1箱から相談でき、紙ファイルやキングファイルに綴じたままでも送付できます。スキャン後のPDFは指定のフォルダ構成や命名ルールで格納・納品する流れが案内されています。原本は専門業者による溶解処理で破棄する流れのため、原本の処理方針と時期は依頼前に確認し、合意しておきましょう。
名前・フォルダ・本文検索を組み合わせる
電子化しても、探し方が用意されていなければ時間は減りません。ログの「依頼時の手がかり」列を見て、よく使われる手がかりに合う検索手段を配置します。
| 検索手段 | 向いている手がかり | 準備すること |
|---|---|---|
| ファイル名 | 取引先名・日付・書類の種類が分かっている | 名前に入れる要素と順番を決める |
| フォルダ | 年度や部署から一覧でたどりたい | 階層の軸と保存先を一つに決める |
| 本文検索 | 本文中の語句しか分からない | OCRの要否と対象範囲を決め、代表原稿で試す |
たとえば手がかりの多くが「取引先名と年度」なら、ファイル名とフォルダで届く設計を優先し、「件名の一部」しか分からない依頼が多い資料には本文検索を検討します。一つの手段に頼らず、手がかりごとに入口を用意するのがポイントです。命名は「スキャンしたPDFのファイル名はどう付ける?命名ルールと具体例」、階層は「電子化した書類のフォルダ構成はどう決める?部署・案件別の設計例」、本文検索は「OCRで検索できるPDFにするには?スキャン外注時の指定と確認方法」で詳しく説明しています。OCRの対応可否や条件は、見積もりの際に委託先へ確認してください。
導入前後を同条件で比べる
電子化の成果は、導入後に同じ方法で測った結果で判断します。導入前の記録だけで「◯時間減る」と見込みを成果のように書かないことが大切です。比べるときは次の条件をそろえます。
| そろえる条件 | 内容 |
|---|---|
| サンプル業務 | 導入前のログから、同じ種類の依頼(見積書の参照など)を比較対象に決める |
| 観測期間 | 導入前と同じ長さで、繁忙の波も同じ程度に含む時期を選ぶ |
| 始点と終点 | 依頼を受けた時点から渡した時点まで、定義を変えない |
| 指標 | 1件あたりの所要時間と、見つからなかった件の割合 |
件数は期間によって変わるため、合計時間ではなく1件あたりの時間と、見つからなかった割合で比べます。電子化した直後は利用者が新しい探し方に慣れていないこともあるため、導入直後と数か月後の2回測ると傾向をつかみやすくなります。結果が思わしくない場合は、ログの手がかりと主原因を見直し、命名やフォルダの調整につなげましょう。
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