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税理士・会計事務所の過去資料を電子化するには?顧問先別の整理方法

公開日:更新日:書類別の電子化
顧問先ごとに分けた会計書類と電卓、帳簿

税理士・会計事務所の過去資料を電子化するときに難しいのは、スキャンの作業そのものよりも、「その資料は誰のものか」「どの顧問先のどの年度か」を崩さずに扱うことです。顧問先から預かっている書類と事務所の控えでは、電子化や原本処理を決める人が異なります。本記事では、資料の区分、顧問先と年度の対応づけ、電子化の時期、委託と原本処理の条件、納品後の照合までを、顧問先別の整理表とあわせて解説します。

保管している資料を区分する

最初に、事務所内の紙資料を所有者で分けます。大きくは、顧問先から預かっている書類(証憑の綴りなど)と、事務所が作成・保管している控え(申告書や決算資料の控え、作業メモなど)です。

区分が必要なのは、電子化してよいか、原本をどうするかを決める人が違うためです。預かり書類は顧問先の所有物なので、スキャンや処分の可否は顧問先の意向と取り決めに従います。事務所の控えであっても、顧問先の情報を含む以上、閲覧範囲や委託の可否は所内の方針に沿って判断します。

区分 例 電子化・原本処理を決める人 確認すること
顧問先からの預かり書類 証憑の綴り、契約書類など 顧問先(事務所は確認と実務を担当) 返却予定、電子化と委託への同意、原本の扱い
事務所の控え 申告書・決算資料の控え、作業メモ 事務所(所内の方針に従う) 所内の保管方針、閲覧できる職員の範囲
区分不明 所有者の記録がない箱・ファイル 担当者と所長等で確認 顧問先への照会が必要か

上表は整理の考え方を示す例です。実際の区分や判断者は、事務所の規程と顧問先との取り決めに合わせてください。区分不明の箱は、電子化の対象にも処分の対象にも入れず、確認待ちとして分けておきます。

顧問先と年度の対応を保つ

顧問先名だけで箱やフォルダを分けると、同名の法人、社名変更、合併、個人事業からの法人成りがあったときに対応が崩れます。事務所で付けている顧問先コードなどの識別IDを主に使い、名称は「当時の名称」と「現在の名称」の両方を補助情報として残します。

年度の表記にも注意が必要です。3月決算と12月決算の顧問先を同じ「2023年度」と書くと、後から対象期間を取り違えるおそれがあります。法人は「2023年3月期」、個人は「2023年分」のように、顧問先の種類に合わせた書き方を決めます。

顧問先ID 顧問先名(当時) 対象年度 資料 所有者 受託範囲 電子化後の原本
C-0142 株式会社サンプル商事(現:サンプルホールディングス) 2022年3月期 証憑綴り12冊 顧問先 記帳代行・申告 顧問先の判断待ち(返却予定)
C-0142 同上 2022年3月期 申告書・決算書の控え 事務所 記帳代行・申告 所内の方針に従い保管
C-0387 個人事業 甲野氏 2022年分 経費領収書の綴り 顧問先 申告のみ 同意と保存要件の確認後に判断

上表は架空の例です。受託範囲の列は、記帳代行を受けていた年度と申告のみの年度で、預かっている資料の種類や量が違うことを確かめるために設けます。顧問先IDと年度を箱の外側にも記載しておくと、発送時や納品後の照合が楽になります。

電子化の対象と時期を決める

事務所には、確定申告の時期や3月決算の申告時期など、資料の出し入れが集中する時期があります。そこで箱を発送すると、急ぎで見たい資料が手元にない状態になりかねません。発送は繁忙期を避け、各顧問先の決算月から見て参照が少ない時期に分けると進めやすくなります。

顧問先へ返却する予定の預かり書類は、返却日から逆算して扱いを決めます。返却前に事務所としてPDFを残したい場合は、その可否を顧問先に確認したうえで、返却日に間に合う範囲で依頼します。

  • 進行中の顧問先の直近年度:参照が多いため、電子化しても原本を手元に置く期間を確保する
  • 終了した年度の事務所控え:所内の方針が決まっていれば先に進めやすい
  • 返却予定の預かり書類:顧問先の同意と返却日を確認してから
  • 関与が終了した顧問先の資料:契約や取り決めを確認してから判断する

Chatworkスキャン代行は段ボール1箱から相談でき、見積もりは無償です。顧問先ごと・時期ごとに分けて送りたい場合も、書類の量と希望時期を伝えて進め方を相談してください。

委託と原本処理の条件を確認する

外部に電子化を委託する前に、確認事項を3つに分けて扱います。まとめて考えると、税務上の確認だけで安心して顧問先の同意を取り忘れる、といった抜けが起きやすくなります。

顧問先との契約・同意

預かり書類を第三者に委託してスキャンすることや、原本を処分することについて、顧問契約や預かりの取り決めでどう定めているかを確認します。定めがない場合は、対象書類・委託先・原本の扱いを示して顧問先の同意を得て、その記録を整理表に残します。

税務上の保存要件

国税庁の電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】では、スキャナ保存制度を、取引の相手先から受け取った請求書等や自己が作成したその写し等の国税関係書類(決算関係書類を除く)について、一定の要件の下で書面による保存に代えてスキャン文書による保存を認める制度と説明しています。同資料では入力期間、解像度、タイムスタンプ、検索機能などの要件のほか、過去に受領した書類の扱いや読み取り後の書面の扱いも個別に説明されています。

つまり、PDFを作っただけで書面の保存に代わるとは限りません。顧問先が税務上の原本保存に代えてスキャンデータを使うかどうかは、対象書類と運用が要件を満たすかを確認したうえで判断します。保存期間や原本廃棄の可否は一律に決めず、国税庁の最新資料を確認し、顧問先ごとに判断してください。

原本処理と委託先の確認

Chatworkスキャン代行では、スキャン後の原本は専門業者による溶解処理で破棄すると案内しています。溶解処理に回すのは、所有者である顧問先の同意と保存要件の確認が済んだものに限ります。返却や保管を希望する原本がある場合は、対応できるかを見積もり時に確認し、処分対象と同じ箱に入れないようにします。ISO/IEC 27001:2022の取得や生体認証による入室管理といった委託先のセキュリティ体制も、顧問先へ説明する材料として確認しておきましょう。

納品を業務環境へつなぐ

納品されたPDFは、事務所で使っている顧問先別の案件フォルダや業務ソフトの保存先に取り込んで初めて役立ちます。依頼時に、顧問先ID・年度・資料区分を含むフォルダ構成と命名ルールを指定しておくと、取り込みの手間を減らせます。たとえば「C-0142_2022-03期_証憑_01.pdf」「C-0142_2022-03期_申告書控.pdf」のような形です(架空の例)。

  1. 整理表の行ごとに、対応するPDFがそろっているか確認する
  2. ファイル名・フォルダ名の顧問先IDと年度が整理表と一致しているか見る
  3. 代表的なファイルを開き、冊の抜けやページの欠けがないか確認する
  4. 顧問先所有の資料について、閲覧できる職員の範囲を設定する
  5. 照合結果と、原本を返却・保管・処理のどれにしたかを整理表に記録する

照合で不一致が見つかったら、顧問先IDの付け違いか、箱詰めの段階での混在かを切り分けて修正します。整理表を顧問先IDごとに保存しておけば、顧問先から過去資料の問い合わせがあったときにも、所在と原本の状態をすぐに答えられます。

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