司法書士事務所の案件書類を電子化するには?案件単位で進める整理と外注

司法書士事務所の案件書類を電子化するときは、書類の種類別ではなく「案件」を単位にして、本体の書類と添付書類、後から届いた追加資料のつながりを残すことが大切です。完了案件は後日の問い合わせや関連する新しい依頼で見返すことがあり、つながりが切れたPDFでは必要な資料にたどり着けません。この記事では、案件単位で書類を整理し、外部委託を検討するまでの進め方を説明します。
案件ごとに書類のまとまりを確認する
まず、代表的な完了案件をいくつか選び、ファイルの中身を確認します。申請や手続きの中心となる書類、本人確認や添付に使った書類の控え、依頼者とのやり取りの記録、後から追加で受け取った資料などが、同じファイルにどう綴じられているかを把握します。クリップや封筒で小分けにされている場合、その区切り自体が案件内の構造を示していることがあります。
確認した内容は、案件IDと付属書類を対応させた表にまとめます。次の表は架空の例で、実在の案件や依頼者ではありません。
| 案件ID | 本体書類 | 付属・添付書類 | 追加資料 | PDFの区切り |
|---|---|---|---|---|
| 2019-R-0142 | 申請書類の控え | 添付書類の写し、委任関係の書類 | 補正対応のメモ | 本体と添付を1ファイル、追加資料は別ファイル |
| 2019-R-0142-2 | 関連する後続案件の申請控え | 前案件と共通の資料は綴じていない | なし | 前案件IDを備考に記載 |
| 2020-S-0037 | 相談記録と作成書類の控え | 依頼者から預かった資料の写し | 電話記録 | 書類の種類ごとに分割 |
表を作ると、「共通の資料が前の案件にしか綴じられていない」「追加資料だけ別の箱にある」といった例外が見えてきます。例外は無理に並べ替えず、備考欄に所在を記録してから電子化の対象に入れます。
依頼者と案件の識別ルールを設計する
電子化後の検索は、案件IDと依頼者の両方から行えるようにしておくと便利です。ただし、依頼者名だけをファイル名やフォルダ名にすると、同じ依頼者の複数案件や同姓同名の別人を区別できません。所内の業務ソフトや受付簿で使っている番号があれば、それを案件IDとして優先して使います。
- 同じ依頼者の複数案件:依頼者を表す番号と案件IDを分け、案件IDは重複させない
- 同姓同名:氏名だけで判定せず、依頼者番号や受付年月で区別する
- 関連する後続案件:枝番号を付け、元の案件IDを台帳の備考に残す
- 番号のない古い案件:新しい案件IDを付け、背表紙の表記との対応を記録する
ファイル名やフォルダ名にどこまで個人名を入れるかは、閲覧範囲と合わせて事務所で決めます。委託先に渡す指示書には、命名ルールの例と、判断に迷うファイルを保留にする方法を書いておくと、推測による振り分けを避けやすくなります。
稼働中の案件と完了案件を分けて進める
手続きが進行中の案件は、原本を日々参照したり、書類を追加したりするため、外部に送ると業務が止まるおそれがあります。最初の対象は完了案件に絞り、稼働中の案件は完了後に順次加える計画にすると、所内の業務と両立しやすくなります。
完了案件の中でも、関連する新しい依頼が入りやすい分野や、問い合わせで見返すことが多い年度から始める方法があります。送付する案件の一覧を作り、送付中に参照が必要になったときに誰が委託先へ連絡するかを決めておきます。送付前に、送付対象から外す案件と、その理由も一覧に残しておくと、後で電子化の漏れと見分けられます。
外部委託と原本の扱いを事務所で確認する
司法書士法第24条は、司法書士または司法書士であった者について、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならないと定めています。案件書類のスキャンを外部に委託するかどうか、委託する場合の方法や依頼者への説明は、こうした守秘義務を踏まえ、事務所と所属する司法書士会の方針に照らして判断してください。この記事は、外部委託が法的に問題ないことを示すものではありません。
保存についても一律に決めず、確認を重ねます。司法書士法施行規則には事件簿の調製と保存に関する規定(第30条)がありますが、これは事件簿についての規定です。個々の案件書類をどの期間保存するか、電子化後に原本を保管し続けるか廃棄するかは、書類の性質に応じて条文や所属会の方針を確認し、事務所として決めます。
| 確認すること | 確認先の例 | 記録する内容 |
|---|---|---|
| 外部委託の可否と方法 | 所属会の方針、事務所内の規程 | 判断した人と日付 |
| 依頼者への説明の要否 | 事務所の方針 | 説明の方法 |
| 委託契約と取り扱い条件 | 委託先の契約書・資料 | 機密保持、再委託、原本の扱い |
| 電子化後の原本 | 条文、所属会の方針 | 保管・廃棄の区分 |
Chatworkスキャン代行の公式ページでは、ISO/IEC 27001:2022の取得、生体認証による入室管理や監視カメラのある専用センターでの作業、専門業者による溶解処理での原本破棄を案内しています。ただし、原本を破棄してよいかは事務所が判断することであり、破棄の対象は確認が済んだ書類に限ります。その他の取り扱い条件は、見積もり時に確認してください。
納品後に案件を検索できるか検証する
納品されたら、ページ数だけでなく「必要な書類にたどり着けるか」を確認します。最初に作った対応表から数件を抜き出し、実際の問い合わせを想定して検索してみると、構造の崩れを見つけやすくなります。
- 案件IDで検索して、本体・添付・追加資料のPDFがすべて見つかるか
- 依頼者番号から、同じ依頼者の別案件も一覧できるか
- 対応表にある書類が欠けていないか、別の案件に混入していないか
- 保留にしたファイルの行き先が決まっているか
- 閲覧できる職員の範囲が、事務所で決めた権限と一致しているか
問題が見つかった場合に備えて、原本の保管・処分の時期、納品データの確認期限、再スキャンが必要になったときの対応を、依頼前に委託先と合意しておきます。まずは完了案件を数件選び、対応表を作ることから始めてみてください。
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