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不動産管理の紙書類を電子化するには?物件・契約・更新履歴の整理方法

公開日:更新日:書類別の電子化
建物の模型と物件関連の書類ファイルと鍵

不動産管理会社の紙書類は、契約書を1件ずつPDFにするだけでは使いやすくなりません。同じ住戸に入居者が入れ替わり、契約は更新を重ね、修繕の記録は住戸や建物に残っていくためです。電子化の要点は、「物件→住戸→契約→書類」の関係を先に決め、その関係どおりにPDFとファイル名を設計することです。この記事では、管理単位の決め方、関連書類のつなげ方、入替と更新履歴の分け方、委託前の確認、既存の管理環境への引き渡しまでを順に説明します。

物件・住戸・契約の単位を決める

最初に、紙書類を分類する「単位」とそのIDを決めます。賃貸管理では、物件(建物)、住戸(部屋)、契約(入居者ごとの賃貸借契約)の3段階で考えると整理しやすくなります。契約者名だけで分けると、同じ人が別の住戸を借りた場合や、法人契約の担当者が替わった場合に対応が崩れます。

次の表は、物件→住戸→契約→書類の関係を1行ずつ書き出した記入例です(ID・物件名はすべて架空の例)。

物件ID・物件名 住戸ID 契約ID ひも付く書類
B012 サンプルハイツ B012-101 B012-101-01(退去済み) 賃貸借契約書、更新契約書、解約届、退去時の精算書
B012 サンプルハイツ B012-101 B012-101-02(現契約) 賃貸借契約書、覚書(駐輪場)、更新契約書
B012 サンプルハイツ B012-(建物全体) ― オーナーとの管理委託関係の書類、共用部の修繕記録
B027 サンプルコート B027-205 B027-205-01(現契約) 賃貸借契約書、申込書

住戸IDは物件IDに部屋番号を付けた形、契約IDは住戸IDに入居の順番を付けた形にすると、IDだけで上位の単位が分かります。管理システムですでに番号を振っている場合は、新しく作らずその番号を使ってください。

単位が決まったら、書類の種類ごとに「どのIDにひも付けるか」を決めます。迷いやすいのは、契約に属する書類と、住戸や建物に属する書類が同じファイルに綴じられている場合です。

書類の種類 ひも付ける単位 PDFのまとめ方の例
賃貸借契約書・重要事項の説明書面 契約ID 契約ごとに1つのPDF
覚書・特約の追加 契約ID 本体と同じPDFの後ろに日付順で追加
更新契約書・更新の合意書 契約ID 更新ごとに別PDFとし、枝番で順番を示す
室内の修繕・設備交換の記録 住戸ID 住戸ごとに年単位でまとめる
共用部の修繕・点検の記録 物件ID 物件ごとに年単位でまとめる

上表は考え方の例で、まとめ方は自社の検索のしかたに合わせて決めます。契約本体・覚書・別紙の一般的な整理は「契約書のスキャンを外注するには?契約単位のPDF化と原本管理」で扱っているため、ここでは不動産管理に特有の「住戸と建物に属する書類」を分ける点に絞りました。退去時の原状回復に関する書類のように、契約と住戸の両方に関わるものは、主にどちらから探すかを利用部署に聞いて決めます。

入替と更新履歴を分けて管理する

同じ住戸の過去契約と現契約が1冊のファイルに混在していると、PDF化した後に「どれが今の契約か」が分からなくなります。送付前に、契約IDごとに付箋やインデックスで境界を示すか、境界の一覧を作って委託先に渡します。

  • 入居者の入替:入居ごとに契約IDを新しく振り、退去済みの契約は「退去済み」のフォルダに分ける
  • 更新:契約IDは変えず、ファイル名の末尾に更新の回数や日付を付ける
  • 名義変更・法人の社名変更:新しい契約として扱うか、同じ契約の変更として扱うかを社内で決めて一覧に記録する

ファイル名の例(架空):B012-101-02_賃貸借契約書_20220401.pdf、B012-101-02_更新01_20240401.pdf。PDFをどこで区切るかの考え方は「スキャンしたPDFはどこで分割する?書類・案件・ファイル単位の決め方」も参考にしてください。

委託対象と閲覧範囲を確認する

賃貸管理の書類には、入居者・連帯保証人の氏名、連絡先、勤務先、収入に関する書類の写しなど、個人情報が多く含まれます。外部に電子化を委託する前に、次の3点を社内で確認し、承認を得ておきます。

確認項目 決めておくこと
個人情報 委託の対象に含めてよい書類の範囲、社内の承認者、委託先と合意する取り扱いの条件
預かっている原本 オーナーから預かっている書類があるか、電子化と原本処理についてオーナーとの取り決めを確認したか
閲覧範囲 PDFを見られる部署・担当者、退去済み契約の閲覧を制限するか

原本の扱いも、委託の前に決めます。Chatworkスキャン代行では、スキャン後の原本は専門業者による溶解処理で破棄すると案内されています。返却や保管を希望する書類がある場合は、その対応可否と条件を見積もり時に確認し、原本の処理方針と時期を依頼前に委託先と合意してください。

法令上の帳簿や書面に当たる書類があるかどうかも確認が必要です。たとえば賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の第18条は、賃貸住宅管理業者に対し、管理受託契約について帳簿を備え付けて保存することを定めています。どの書類が対象になるか、保存の方法や期間、電子化後に原本を処分できるかは一律に判断できないため、国土交通省の資料を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談してください。

既存の管理環境へ引き渡す

納品されたPDFは、普段使っている賃貸管理システムや共有フォルダに取り込んで初めて役立ちます。依頼の前に、取り込み先がPDFを受け入れる形式、1ファイルの容量の上限、ファイル名やフォルダから物件・住戸の情報を読み取れるかを、取り込み先の仕様で確認します。

Chatworkスキャン代行は、フォルダ構成や命名ルールなど指定の方法でPDFを格納・納品すると案内しています。紙ファイルやキングファイルに綴じたままでも送付できます。特定の管理システムへの登録や連携まで依頼したい場合は、対応範囲を見積もり時に確認し、登録作業の担当を決めておきましょう。システム移行の全体の進め方は「文書管理システム導入時に残る紙書類|過去資料の移行計画の立て方」で整理しています。

取り込み後は、実際の物件検索で照合します。

  • 物件名・部屋番号で検索し、現契約のPDFが最初に開けるか
  • 過去契約と現契約が別のファイルとして見分けられるか
  • 関係表をもとに作った書類別の納品予定一覧と、納品されたPDFの件数・対応関係が一致するか
  • 閲覧を制限した書類が、権限のない担当者から見えないか

まずは1棟分の書類で関係表を作り、ID・ファイル名・閲覧範囲の決め方を試してから、ほかの物件に広げると進めやすくなります。

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