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テレワークで紙書類を確認できないときは?既存資料の電子化と共有方法

公開日:更新日:移転・書庫整理
自宅の机で電子化された資料を確認するノートパソコン

テレワークの日でも、過去の契約書や案件ファイルを確認するためだけに出社している――そんな状況は、資料が会社のキャビネットにしかないことが原因です。解決の順番は、まず出社の理由を記録し、社内規程で持ち出しと電子化の条件を確かめ、よく参照される既存資料からまとめて電子化し、共有先と権限を決めることです。この記事では、すでに社内に保管されている紙書類を対象に、出社に頼らず確認できる状態を作る手順を説明します。毎日新しく届く郵便物の受け取りは別の課題のため、ここでは扱いません。

出社が必要になる資料を洗い出す

「紙が多いから出社している」という感覚のままでは、電子化の対象を絞れません。2週間から1か月ほど、資料を確認するために出社した日を記録してもらいましょう。記録は簡単な共有表で十分です。

  • 資料名と保管場所:キャビネット番号やファイルの背表紙の名前
  • 利用者:誰が、どの業務で見たか
  • 頻度:週に何回か、月末だけか、問い合わせがあったときだけか
  • 原本の必要性:内容を読めば済んだのか、原本そのものの提示や押印が必要だったのか

ポイントは「原本の必要性」を分けて書くことです。内容の確認だけが目的なら電子化で出社を減らせる可能性がありますが、原本の提出や押印が必要な作業は、電子化しても出社や郵送の手配が残ります。両者を混ぜたまま集計すると、電子化の効果を過大に見積もってしまいます。

記録を始める前に、利用者へ「出社を責めるための調査ではない」と伝えておくと、正直な回答が集まりやすくなります。

持ち出しと電子化の方針を決める

次に、紙の持ち出しと電子化について社内のルールを確認します。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」(第5版)では、紙文書も電子データと同じく企業の情報資産として扱われています。紙媒体を持ち出して作業する方式については、暗号化ができず、紛失や盗難の際に所在を追跡できないため情報漏えい等のリスクがある、と説明されています。

また同ガイドラインでは、情報の取扱方法は電磁的な情報だけでなく紙媒体についても定めておく必要があるとされ、例として自宅等での出力の可否や、紙文書の持ち出し・電子化における制限が挙げられています。つまり「電子化すれば自由に使える」とは限らず、情報の区分ごとに扱いを決めておくことが前提になります。

確認すること 主な確認先
情報の区分ごとに、テレワークで扱ってよいか 情報管理の責任者・総務
紙文書の持ち出しを認める条件 総務・所有部署
電子化してよい情報か、電子化後の保存先の指定 情報システム担当・所有部署
利用できる端末(会社貸与のみか)と自宅での印刷の可否 情報システム担当

規程に定めがない項目は、担当者の判断で決めずに確認先へ相談しましょう。保存年限や原本を廃棄できるかどうかも書類ごとに異なるため、一律に判断せず、所有部署や専門家に確認してください。

まとめて電子化する対象を決める

記録と規程の確認がそろったら、出社理由ごとに対応を決めます。このとき、すでに保管されている過去の資料と、これから日々増える資料を分けて考えるのがコツです。過去分は量が多く一度に片付けたい一方、日々増える分は社内で回せる小さな流れを作るほうが向いています。次の表は、出社理由と電子化対象の対応表の記入例です。

出社理由(記録の例) 頻度・利用者 原本の要否 対応方針
過去の契約条件を確認 週2回・営業部 閲覧で足りる 過去分をまとめて電子化
完了案件の図面・報告書を参照 月数回・工事担当 閲覧で足りる 過去分をまとめて電子化
業務マニュアルの紙版を確認 随時・新任者 不要 現行版を電子化し、旧版を区分
原本の提出・押印 月1回・総務 必要 出社または郵送の手配を残す
社内で回付される申請書 毎日・各部署 規程による 日々の登録ルールを社内で決める

表の内容はすべて架空の例です。過去分の量が多い場合は、外注を検討する価値があります。Chatworkスキャン代行の公式ページでは、段ボール1箱から相談でき、紙ファイルやキングファイルに綴じたまま送れること、フォルダ構成や命名ルールなど指定の方法で格納・納品することが案内されています。原本は専門業者による溶解処理で破棄する案内のため、原本を残す書類は、処理の方針と時期を依頼前に確認・合意してください。

外部へ預ける際の安全管理の確認事項は「機密書類のスキャンを外注する前に確認したいセキュリティ対策」で整理しています。

共有先とアクセス権を設定する

電子化したデータの置き場所は、規程で認められたシステムの中から選びます。前述のガイドラインでは、テレワークで使うデータは端末自体ではなく、オフィスネットワーク上やクラウドサービス上に保存することが取扱方法の例として示されています。また、共有フォルダやクラウドサービスのアクセス権限設定などにより、機密情報を閲覧・編集する必要のない勤務者や端末からのアクセスを制御する対策が挙げられています。

  • 利用者:対応表の「利用者」欄をもとに、閲覧できるグループを決める
  • 保存先:資料ごとに正本の置き場所を一つに決め、個人のPCへの保存を避ける
  • 社外からの利用条件:接続できる端末、ダウンロードや印刷の可否

社外からの接続や端末の制限をどこまで設定できるかは、利用先システムの公式仕様で確認し、情報システム担当と決めてください。フォルダの分け方は「電子化した書類のフォルダ構成はどう決める?部署・案件別の設計例」が参考になります。在宅の利用者が迷わないよう、資料の探し方を短い案内文にまとめて共有しておきましょう。

運用が続く仕組みを作る

電子化の直後は便利でも、更新や問い合わせの担当が決まっていないと、再び「紙を見に行く」運用に戻りがちです。次の点を決めておきます。

  • 不在時の確認:原本が必要な場面で、出社している誰が代わりに確認するか
  • 更新:新しく綴じた書類を誰が、どの頻度で電子化して登録するか
  • 問い合わせ:見つからない・開けないときの連絡先と回答の担当
  • 紙の所在:電子化済みの原本がどこにあるか、処理済みかを記録する

運用を始めて1〜2か月後に、最初と同じ方法で出社理由を記録し直すと、残っている課題が見えます。紙のマニュアルを再印刷している、特定の資料だけ電子化が漏れている、といった原因が分かれば、次に電子化する対象を追加で決められます。席を固定しない働き方も併せて検討している場合は、「フリーアドレス導入時の紙書類はどうする?共有・個人保管の整理方法」も参考にしてください。

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