書類の保管コストを見直すには?保管継続と電子化の比較方法

書類の保管コストを見直すときは、倉庫の保管料だけで判断せず、入出庫や配送の費用、書類を探す時間、社内の収納スペースまで洗い出し、保管を続ける案と電子化する案を同じ比較期間・同じ税の表示でそろえて比べます。電子化しても原本を残す書類がある場合は、その保管費も電子化案の側に残ります。この記事では、比較の手順と、仮定を置いた算数例を紹介します。
保管にかかる費用を洗い出す
保管コストは、毎月の請求書に載る費用と、社内で発生していても請求書には出てこない費用に分かれます。次の表で漏れがないかを確認します。
| 費目 | 内容 | 数字の取り方 |
|---|---|---|
| 保管料 | 外部倉庫の箱単位・棚単位の料金 | 保管契約と毎月の請求書 |
| 入庫・出庫 | 箱の預け入れ、取り出しの手数料 | 請求明細 |
| 配送 | 取り寄せ・返却の配送費 | 請求明細 |
| 探す時間 | 手配・問い合わせ・探索に実際に従事した時間(配送の経過時間とは分ける) | 担当者の記録 |
| 社内スペース | 書庫やキャビネットが占める面積 | 図面と賃料の按分(社内の算定方法による) |
| 廃棄 | 保存の必要がなくなった書類の処理費 | 過去の実績 |
社内スペースの費用をどう算定するかは会社によって考え方が異なります。比較に含めるかどうか、含める場合の計算方法を、経理や総務の担当者と先にそろえておきます。
箱数と取り寄せ頻度を把握する
比較の土台になるのは、実際の請求書と利用履歴です。直近の一定期間について、次の数字を集めます。
- 保管している箱数と、その増減
- 月ごとの取り寄せ回数と、取り寄せた箱
- 取り寄せ1回あたりにかかった費用
- 依頼してから書類を手にするまでの時間
取り寄せの履歴を箱ごとに並べると、何度も取り寄せている箱と、預けたまま一度も動いていない箱に分かれます。この差が、電子化の対象を選ぶときの手がかりになります。
保管継続と電子化を同条件で比べる
比べるときの条件は、比較期間をそろえる、金額を税抜(または税込)で統一する、電子化後も原本を残す分の費用を含める、の3点です。次の算数例の数字はすべて仮定で、実際の相場や特定の会社の料金を示すものではありません。
- 外部倉庫に200箱を保管、保管料は1箱あたり月300円(税抜・仮定)
- 取り寄せは月4回、1回あたり出庫と往復の配送で2,000円(税抜・仮定)
- 取り寄せ1回につき、手配・問い合わせ・探索の実作業で担当者1時間、社内の時間単価3,000円(仮定)
- 比較期間は36か月(社内で決めた検討期間の仮定)
- 電子化案では200箱のうち120箱を電子化し、社内で確認したうえで原本を処理する。残る80箱は原本を保管し続ける(仮定)
- 電子化案でも、残る80箱の取り寄せが月1回発生する(仮定)
- 電子化した120箱分について、データ検索が月3回、1回0.1時間発生する(仮定)
| 費目(36か月・税抜) | 保管継続案 | 電子化案 |
|---|---|---|
| 保管料 | 200箱×300円×36か月=2,160,000円 | 80箱×300円×36か月=864,000円 |
| 取り寄せ費 | 4回×2,000円×36か月=288,000円 | 1回×2,000円×36か月=72,000円 |
| 探す時間 | 4回×1時間×3,000円×36か月=432,000円 | 1回×1時間×3,000円×36か月=108,000円 |
| 電子データを探す時間 | ― | 3回×0.1時間×3,000円×36か月=32,400円 |
| 電子化の委託費 | ― | 見積額(X) |
| 社内の準備・照合 | ― | 60時間×3,000円=180,000円(仮定) |
| 倉庫からの出庫・原本の処理 | ― | 倉庫・委託先との契約による(Y) |
| データの保存費 | ― | 既存の保存先で足りるなら0円、増設するなら(Z) |
| 合計 | 2,880,000円 | 1,256,400円+X+Y+Z |
この仮定では、X・Y・Zの合計が1,623,600円を下回れば、36か月間の総額は電子化案のほうが低くなります。電子データを探す時間も含めた仮定です。取り寄せ・検索の実測値が分かれば置き換えて再計算してください。工数を金額換算した部分は、現金支出が同額減ることを意味しません。支払額の削減と、ほかの業務に使える時間の増加を分けて判断します。
電子化を優先する書類を選ぶ
すべての箱を同じように扱う必要はありません。参照の頻度と原本の必要性で分けると、優先順位が見えてきます。
| 区分 | 参照の頻度 | 原本の必要性 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| A | 多い | 低い | 電子化の効果が出やすい。優先して検討 |
| B | 多い | 高い | 電子化して参照はデータで行い、原本は保管を続ける |
| C | 少ない | 低い | 保存の要否を確認し、不要なら処理。必要なら電子化と保管を費用で比較 |
| D | 少ない | 高い | 原本のまま保管を続けることが多い |
Bのように電子化しても原本を残す書類は、保管料は減りませんが、取り寄せ費と探す時間を減らせる可能性があります。区分の判断には、箱ごとの内容と所有部署が分かる台帳が必要です。台帳がない場合は「書類の棚卸しはどう進める?書庫整理に使える台帳項目と手順」から始めてください。
段階的に見直す
一度に全量を切り替える必要はありません。取り寄せの多い箱から電子化し、実際の費用と取り寄せ回数の変化を確認しながら範囲を広げる方法もあります。社内で報告するときは、次のように分けて示すと誤解を招きにくくなります。
- 初期費用:電子化の委託費、社内の準備・照合、倉庫からの出庫や原本の処理
- 継続費用の見込み:保管料・取り寄せ費・探す時間の変化(仮定に基づく見込み)
- 前提条件:比較期間、税の表示、原本を残す範囲、時間単価
見込みは仮定に基づくもので、実際の削減額を保証するものではありません。実施後に請求書と取り寄せ回数で効果を確かめ、次の段階の判断に使います。電子化の委託費の構成は「スキャン代行の費用は何で決まる?料金の内訳と総額の比べ方」、外注全体の流れは「大量の紙書類をスキャン外注するには?依頼から納品までの進め方」で確認できます。Chatworkスキャン代行では料金を個別見積もりとしており、原本については専門業者による溶解処理の流れが案内されています。
まとめ
保管コストの見直しでは、保管料に加えて入出庫・配送・探す時間・社内スペースを洗い出し、保管継続案と電子化案を同じ期間・同じ税の表示で比べます。電子化後も原本を残す分の保管費は、電子化案の側に必ず残します。参照の頻度と原本の必要性から優先順位を付け、段階的に進めて実績で効果を確かめましょう。